2026.06.12
情報を右から左に流すのは、もう仕事ではない

情報を、右から左に流す。
その役割は、この10年でかなり減ったように思います。
多くは「AIに奪われた」と語られます。
でも、奪われたのではないと思っています。
それはもともと、「仕事」と呼べるものではなかった。
そう考えると、AIがしているのは「仕事を奪う」というより、
意味を伴わずに流れていた行為を、ただ可視化しているとも言えます。
私たちが「仕事」と呼びたいのは、意味がまだ発生していないものに、
何かが起きる余地をつくっていく営みのほうです。
では、意味が生まれるとは何か。
情報がそのまま流れるのではなく、誰かの中で見え方が変わること。
相手が持ち込んだ情報の文脈を読み替える。
本人がまだ言葉にできていない前提や違和感に触れる。
「あなたが前の会社で本当に嫌だったのは、待遇ではなく、決める場面に関われなかったことだったのでは」
と、場に置いてみるような瞬間です。
そのうえで、選択肢の見え方を少しだけ変える。
その結果として、意思決定の質が変わる。
これは、情報の流通とは別のものです。
ひとつ、自分たちへの戒めとして書いておきたいことがあります。
私たちもAIを使っています。
日々、業務の中で手放せなくなっています。
だからこそ、使うたびに突きつけられることがある。
AIが最も得意なのは、意味があるように見えて、
実際には何も更新していない言葉だ、ということです。
耳触りのいい徳目を並べ、それらしく整った文章。
AIはそれを、いくらでも速く、うまく書きます。
便利だからこそ、
自分たちが出す言葉に対して、同じ問いを向け続けないといけない。
その言葉は、誰かの見え方を本当に変えうるのか。
それとも、ただ流れていくだけなのか。
人材紹介で言えば、求人情報を渡すだけなら、AIのほうがいい。
精度も速度も、たぶん勝てません。
でも、「この人がこの会社でどんな役割を持つのか」を一緒に考えるところは、話が違う。
その人が今、何を恐れていて、何を迷っていて、どこになら踏み出せそうか。
そうした前提ごと扱いながら、
情報を渡すのではなく、意味が生まれるプロセスに関わっていく。
私たちは、その部分にこそ仕事の重心を置きたいと考えています。
世界は、簡単には変わりません。
でも、世界の見え方は変わりうる。
その変化が生まれる瞬間に、関わり続けていたい。
同じ問いを持っている方へ




